「君がいた夏」(続き)

君がいた夏やがてビリーは、かつてケイティが一度空を飛んでみたい、と洩らした海辺の展望台を訪ね、そこが2人にとって忘れ得ぬ場所であることを思い、まるで空を飛ぶが如く、そこから遺灰をまくのだった。

甘く切ない青春の日々を旅したビリーは、そこで忘れていた何かを見つけ出したことによりあらためて今、自分の青春に決着をつけるのだった。

ビリーの記憶の中に生きるケイティを演じる、 ジョディ・フォスターがすばらしい。ビリーにとって、彼女は従姉妹にすぎないのだが、遺言で遺灰を託すほど、互いに大切な存在だった。そうした存在感があ ふれ出ていて、画面の中でキラキラと輝いている。ジョディのこの存在感がなければ、陳腐な青春映画で終わってしまっただろう。



kimigaitanatu 原題は「Stealing Home」で、これは日本で言うところの「ホームスチール」という野球用語である。「ホームに帰って自分を取り戻す」中年にさしかかった男の姿に別の感動を抱いた。ケイティは死んだが、すばらしい遺言を残したものだと思う。

否応なく、人生の「ホームスチール」を迎えなければならないことを・・・だれしもが・・・。

(F.Tazaki)



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