「水の記憶」(続き)
子供のころ、夏になると祖母と一緒によく山に登りました。
足を踏み外すと下まで落っこちてしまいそうな程急な山道なのですが、当時80歳になろうかという祖母は平気な顔をしてちゃきちゃきと登っていきます。僕は花や水をもってお墓参りについてゆくのですが、汗をかきかき必死について行ったのを覚えています。
眼下に広がる日本海、海と空の区別がつかないくらい開けたその光景は何十年たった今も、くっきりと記憶に残っています。そしてその水の透明なこと泳ぐ魚の群れが小さな泡のようにゆっくりと動いて見えるのです。
海ってきれいだな!水って偉大だな!そんな感動を味わわせてくれました。
その祖母も他界し、今は全然別のところで暮らしている僕ですが、今でも海を見るとあの当時の幸せな記憶が蘇ります。
1992年に発売されたブレッドアンドバター「水の記憶」ですが、お気に入りは海岸線という曲です。大人の海に込められた恋の歌でしょうか。
(F.Tazaki)